「仕事で無理なものは無理」と感じる場面は、誰にでもあります。
ただ、ただ単に「できません」と伝えるだけでは、相手との関係が悪くなったり、誤解を招くこともあります。
この記事では、上司や取引先に角を立てずに「無理」と伝えるためのコツ、メールやチャットでの例文、納期交渉や代替案の出し方、そして法律や相談先の基礎知識まで、わかりやすくまとめます。
「無理」を伝えるのはネガティブなことではなく、適切に伝えることで信頼関係を保ちつつ、自分とチームを守る行動になります。
角が立たない「無理」の伝え方
まず押さえたいのは「事実 → 理由 → 代替案」の順で伝えることです。
例えば「現在は◯◯の対応で手一杯です → 納期までに対応するには品質面で不安があります → ◯日まで延ばすか、△の範囲に絞れば可能です」という流れです。
この順番にすると、感情ではなく事実に基づいた説明になり、相手も理解しやすくなります。
クッション言葉でやわらかくする
いきなり「できません」とは言わず、「大変申し訳ないのですが」「現状では難しい状況です」など、相手を思いやる一言を加えましょう。
数字や根拠で説明する
「時間が足りない」ではなく「あと3日必要です」「作業時間が20時間かかります」など、具体的な数字を出すと説得力が増します。
相手によって情報量を調整する
上司には詳細な進捗や工数を伝え、取引先には概要と影響範囲だけを簡潔に伝えるなど、相手に応じて説明の深さを変えます。
上司への「無理」の伝え方
社内であれば、業務の優先順位やリソースを共有してから「無理」を伝えるのが基本です。
社内チャット・口頭での例文
「現在進行中のA案件とB案件で工数が埋まっております。追加でC案件を進めるには納期を延ばす必要があります。どの案件を優先すべきかご指示いただけますか?」
優先順位の整理
「やらないこと」をはっきりさせることも重要です。何を後回しにするかを明確にして、全体の調整を提案しましょう。
法律面も意識
残業時間には上限があります。原則として月45時間、年360時間以内です。特別条項があっても年720時間以内、休日含む月100時間未満などの条件があります。
断った後のフォロー
断った案件についても、その後の状況を定期的に共有し、再調整や再提案の機会を作ります。
取引先への「無理」の伝え方
社外の相手には、信頼関係を保つことが何より重要です。
メールの型
お礼 → 事情説明 → 代替案 → 今後の関係、の順に書くと相手も受け入れやすくなります。
納期交渉の工夫
完全な延期だけでなく、分割納品や仕様変更など、選択肢を複数提示すると交渉がスムーズです。
過剰要求の線引き
不当な要求や契約外の作業依頼は「カスタマーハラスメント」に当たる可能性があります。社内で共有し、対応を相談しましょう。
「無理」の見極め方
断る前に、本当に不可能かどうかをチェックします。
工数見積もり
タスクを細かく分けて、人日や依存関係を洗い出すと、作業量が明確になります。
品質・安全・法令の観点
無理に進めると品質が落ちたり、安全面でリスクが高まる場合もあります。
できるがコスト高になる場合
可能ではあるがコストや時間が大幅にかかる場合は、その旨を説明し判断を仰ぎます。
代替案の出し方
断るだけでなく、代替案を用意すると印象が良くなります。
代替案の例
- 納期を延ばす
- 範囲を縮小する
- 人員を追加する
- 外注を検討する
- 分割納品する
法令と相談先
長時間労働やパワーハラスメントは法律でも対策が義務付けられています。
パワハラの定義
優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動を行い、就業環境を害することです。
相談窓口
- 社内の人事部門や上司
- 産業医
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省)
- 労働基準監督署
NG表現とOK表現
NG表現 | OK表現 |
---|---|
できません | 現状では〇〇のため難しいです。代わりに△なら可能です |
無理です | 現在のスケジュールでは間に合わない可能性があります。納期を〇日に延ばすと対応可能です |
まとめ:無理を伝えるのは悪いことではない
「仕事で無理なものは無理」と言えることは、自分やチームを守り、結果的に良い仕事をするための大切なスキルです。
事実に基づき、理由を説明し、代替案を出すことで、相手も納得しやすくなります。
今日からは、角を立てずに無理を伝えるためのテンプレやフレーズを手元に置き、安心して使えるように準備しておきましょう。
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