先に要点。
①“時間・頻度・内容”の3軸で線引きし、②社用ツール/時間帯のルールを先に共有、③記録→社内相談→外部窓口の順で進めると落ち着いて対処しやすいです。
ハラスメント防止は事業主に整備義務があるため、独りで抱え込む必要はありません。社内の相談窓口や公的窓口(総合労働相談コーナー/労働条件相談ほっとライン)も使えます。
【結論】“時間・頻度・内容”で静かに線を引き、方針を丁寧に伝える
- 時間:就業時間外の私用連絡は負担になりやすい。「夜は通知を切っています。急ぎは社用ツールで」など時間帯の方針を共有。
- 頻度:短時間に何件も届く場合は、「やり取りは1日1回まとめ」などバッチ返信を宣言。
- 内容:仕事の話は社用チャット、雑談や私的なお誘いは控える方針を明確に。
会社には相談対応・事実確認・再発防止の措置が求められます。困ったら社内窓口へ。
これは業務?私用?|「業務連絡の範囲」の考え方
業務の例:納期・仕様・日程変更・緊急連絡(事故・停止)など
私用の例:個人的な雑談・食事や私的なお誘い・プライベート写真の送付など
情報管理やログ保存の観点から、仕事の連絡は社用のビジネスチャットへ一本化すると管理しやすく、個人向けSNSの混在は情報漏えいのリスクや公私混同につながりやすくなります。
| 項目 | ビジネスチャット(社用) | 個人向けSNS/LINE(私用) |
|---|---|---|
| ログ・証跡 | 管理者が保存・検索しやすい | 個人端末依存で共有・保全が難しい |
| 権限管理 | 入退社・異動で権限付与/剥奪が可能 | 個人間のつながりが残りやすい |
| 情報セキュリティ | 企業向け機能(監査・DLP等)を使いやすい | 私用と混在で漏えい・誤送信リスクが高まる |
社内のコミュニケーションポリシーや利用規程を一度確認し、会社の方針に沿うことを最優先にしましょう。
角を立てない言い回しテンプレ(状況別)
まずは「方針」を共有→「理由」を簡潔に→「代替手段」を提案、の順で伝えるとスムーズです。
- 社用ツールへ:「情報をまとめたいので、業務の連絡は〇〇(社内チャット)へお願いします」
- 時間帯の線引き:「夜は通知をオフにしています。急ぎは〇〇にお電話ください」
- 私用話題をやんわり断る:「その話題は仕事と離れるので、業務連絡だけ〇〇でお願いします」
- 頻度の調整:「誤解を避けるため、やり取りは1日1回にまとめさせてください」
一度で伝わらない場合は、同じ方針を同じ表現で繰り返し共有し、送った日付・内容を記録します(後述)。
まず試す負担軽減テク(通知・既読・既読スルー)
- 通知管理:夜間・休日はミュート。方針を事前に伝えておくと誤解が減ります。
- バッチ返信:返信時間を1日1〜2回にまとめる。「まとめて返信します」と宣言。
- 既読の扱い:マナーの絶対解はありません。先にルールを共有し、それに沿って静かに運用。
- 情報保護:画像・添付の宛先確認、個人情報の取扱いに注意。
会社としては、相談体制の整備や再発防止措置が求められているため、個人で抱え込まず仕組みを使うのが基本です。
会社ルールを確認して、ビジネスチャットへの切替を提案
就業規則・情報セキュリティ規程・コミュニケーションポリシーを確認し、社内で推奨されるツールへ移行しましょう。
一般に、個人向けSNSの業務利用はシャドーIT化や情報漏えいの懸念があるため、ビジネスチャットの活用が望ましいとされています。
提案テンプレ
「情報を一元管理したいので、業務の連絡は〇〇(社用チャット)にまとめませんか。夜は通知を切っているため、急ぎは〇〇へお願いします」
(補足)プラットフォーム規約・ガイドラインの遵守も重要です。企業・団体としてLINEの機能を使う場合は、公式アカウントの運用ガイドライン・利用規約の確認を忘れないようにしましょう。
記録の残し方とエスカレーションの手順
- 記録:日時・回数・内容・こちらが伝えた方針・相手の反応を時系列でメモ(スクリーンショットは個人情報に配慮)。
- 社内相談:上司・人事・ハラスメント相談窓口へ。相談対応・事実確認・再発防止のプロセスにつながります。
- 公的窓口:全国の総合労働相談コーナー(無料/予約不要)で幅広い労働問題の相談が可能。
- 夜間・休日の相談:労働条件相談「ほっとライン」(フリーダイヤル0120-811-610)。月〜金17:00–22:00、土日祝9:00–21:00(年末年始除く)。
ケース別Q&A|よくある悩みを短く解決
- Q. 取引先から私用のLINEが来る。断ると角が立ちそう。
- A. 会社の方針を先に共有し、「業務は社用チャットに」と提案。必要なら上長同席で方針を再共有するとスムーズです。
- Q. 深夜に連絡が来る。既読を付けたくない。
- A. 通知をオフにし、「翌営業日に返信」方針を事前に伝える。急ぎは電話など代替手段を明記。
- Q. 何度伝えても改善しない。
- A. 記録→社内相談→公的窓口と段階を進めます。総合労働相談コーナーやほっとラインは無料で相談できます。
それでも改善しない時の最終手段(会社と相談して決める)
- 連絡手段の変更・ブロック:業務影響や社内ルールを確認のうえで判断。
- 正式な社内フロー:人事・労務が事実確認し、必要な対処や再発防止策を講じます。
- 法的枠組みの背景:パワーハラスメント防止措置は義務(中小企業にも適用)。会社側の取組が前提です。
※行政・公的機関でも、個人向けSNSの業務利用には情報管理面の懸念が指摘されています。組織としての安全な運用を意識しましょう。
まとめ|今日からできる3ステップ
- 方針を伝える:「業務=社用チャット/時間帯の目安/急ぎの代替手段」を丁寧に共有。
- 記録を残す:日時・回数・内容・相手の反応を時系列でメモ。
- 相談する:社内窓口→必要に応じて総合労働相談コーナーやほっとラインへ(無料)。
付録|そのまま使える伝え方テンプレ
- 業務は社用へ:「情報を整理したいので、業務連絡は〇〇(社用チャット)にお願いします」
- 時間帯の線引き:「夜は通知をオフにしています。急ぎは〇〇にお電話ください」
- 私用話題の回避:「業務と離れる話題は控えさせてください。仕事の連絡は〇〇でお願いします」
- 頻度の調整:「誤解を避けるため、やり取りは1日1回にまとめますね」
注:法令や社内規程は組織・地域で異なる場合があります。重要事項は所属先の最新ルールや公的機関の案内でご確認ください。


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