「職場で自分だけ暑い」「周りは平気なのに自分だけ汗だくになる」 そんなモヤモヤを抱えながら、毎日仕事をがんばっている人は少なくありません。
職場で自分だけ暑いと、「自分だけおかしいのかな」「体調が悪いのかな」と不安になりますよね。エアコンの温度を下げてほしいと言いづらくて、ひとりでガマンしている人も多いと思います。
この記事では、「職場で自分だけ暑い」と感じる主な原因と、今日からできるかんたんな暑さ対策を、やさしい言葉でまとめました。また、病気がかくれている可能性や、病院に相談したほうがよい目安についてもふれます。
「できるだけ前向きに、今より少しでもラクに働けるように」をテーマにしていますので、気になるところから読み進めてみてください。
職場で自分だけ暑い…それってよくあること?まずは状況を整理しよう
まず知っておきたいのは、「職場で自分だけ暑い」と感じる人は、決して少数派ではないということです。オフィスはたくさんの人が同じ空間で働く場所なので、「暑がりな人」「寒がりな人」が混ざっていて、全員が快適に感じる温度にそろえるのはむずかしいと言われています。
自分だけ暑いと感じるシーンあるある
職場で自分だけ暑いと感じるシーンには、次のようなものがあります。
- 同じ部屋にいるのに、自分のデスクまわりだけモワッとする
- 冬でも、会議中に自分だけ顔が赤くなって汗をかく
- エアコンがついているのに、自分だけ「暑くて頭がボーッとする」
- 周りはカーディガンを着ているのに、自分だけ半袖でも暑い
このようなとき、「体質だから仕方ない」と感じる人もいれば、「もしかして体調がおかしいのかな」と不安になる人もいます。
周りは平気なのに「自分だけ暑い」と感じてしまう心理
周りの人が涼しい顔をしている中で、自分だけ汗をかいていると、どうしても「自分だけ浮いている」「迷惑をかけているかも」と感じやすくなります。
この不安や気まずさが重なると、「暑い」と感じた瞬間に、心が先にドキドキしてしまい、さらに汗が出やすくなることもあります。
まずは、「自分だけ暑く感じるのは、よくあること」と知って、自分を責めすぎないことからスタートしてみましょう。
ガマンし続けると仕事や心にも影響が出ることがある
「暑いけど言いづらいから」とガマンを続けていると、次のような負担が積み重なることがあります。
- 頭がボーッとして集中しづらくなる
- 軽い頭痛やだるさが続き、仕事のペースが落ちる
- 「また今日も暑いのかな」と出社前から気が重くなる
暑さがつらいまま仕事を続けると、体調面だけでなく気持ちにも負担がかかります。「気合いが足りないからだ」ではなく、できる範囲で環境や習慣を整えていくことが大切です。
職場で自分だけ暑いのはなぜ?かんたん原因チェックリスト
ここからは、「職場で自分だけ暑い」と感じる主な原因をチェックしていきます。一つだけではなく、いくつかが重なっていることもあります。
原因① 周りの環境のせいで自分の席だけ暑い
まずは「環境」を見直してみましょう。オフィス全体の温度は同じでも、場所によって体感温度がかなり違うことがあります。
- エアコンの風が自分の席まで届いていない
- コピー機・プリンター・サーバーなど、熱を出す機械が近くにある
- 窓際で日差しが強く、午後になるととくに暑くなる
- パーテーションや棚のせいで、空気がこもりやすい
このような場合は、「自分の体がおかしい」のではなく、席の条件が暑くなりやすいだけかもしれません。暑さが気になる時間帯や場所を、メモしておくと原因に気づきやすくなります。
原因② 服装や素材が暑さをため込んでいる
次にチェックしたいのは服装です。同じ気温でも、着ているものによって、暑さの感じ方は大きく変わります。
- ポリエステルなど、通気性が低い素材が多い
- インナーや重ね着が多く、熱が逃げにくい
- きつめの下着やストッキングで、体に熱がこもりやすい
とくに長時間イスに座っていると、背中・おしり・太ももまわりに熱がたまりやすくなります。可能であれば、吸汗速乾インナーや、通気性のよいブラウス・シャツを選ぶと、体感温度が変わることがあります。
原因③ 生活習慣で「暑さに弱い状態」になっている
最近つぎのような状態が続いていないかも、軽くふり返ってみましょう。
- 睡眠不足が続いている
- 夜遅くまでスマホやパソコンを見ている
- お酒を飲む量が多い・遅い時間まで飲むことが多い
- 運動不足で、汗をかく習慣がほとんどない
- 仕事や家庭のことでストレスを強く感じている
これらは、自律神経が乱れやすくなる要因とされています。自律神経が乱れると、体温調節がうまくいかず、暑さを強く感じやすくなったり、汗をかきやすくなったりすることがあります。
いきなり全部を変えようとしなくて大丈夫です。まずは、「寝る前1時間はスマホを見ない」「平日にノンアルの日をつくる」など、できそうなところから少しずつ整えていくのがおすすめです。
原因④ 女性ホルモンの変化や更年期による「ほてり・ホットフラッシュ」
女性の場合、40代前後からのホルモンバランスの変化が、暑さの感じ方に影響することがあります。
女性ホルモン(エストロゲン)が減ってくる時期には、「ホットフラッシュ」と呼ばれる、顔や上半身が急にカーッと熱くなる症状が出ることがあります。気温に関係なく突然ほてりや大汗が出たり、動悸を感じたりするのが特徴とされています。
「周りは涼しいのに、自分だけ急に暑くなる」「夜中に汗びっしょりで目が覚める」といった状態が続くときは、婦人科などで相談してみるのも一つの方法です。
原因⑤ 甲状腺の病気など、からだの不調がかくれている場合も
いつも強い暑さを感じる場合や、次のような症状が同時に出ている場合は、体の病気が原因のこともあります。
- 暑くて汗をたくさんかく
- ドキドキしやすい・脈が速いと感じる
- よく食べているのに体重が減ってきた
- 手がふるえる・疲れやすい
これらは、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)の症状の一部として知られています。代謝がとても活発になり、「常にジョギングしているような状態」と表現されることもあり、暑がり・多汗・疲れやすさなどにつながると言われています。
ほかにも、生活習慣病や貧血など、さまざまな体の状態が暑さの感じ方に影響することがあります。自己判断で「年齢のせい」「性格のせい」と決めつけず、気になるときは医療機関に相談してみてください。
原因をざっくり整理してみよう(一覧表)
| タイプ | 例 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 環境 | エアコンの風が届かない、機械が近い、窓際 など | 席の場所を変えられないか、サーキュレーターを使えないか |
| 服装 | 通気性の低い素材、重ね着が多い など | 吸汗速乾インナーや薄手の服に変えられないか |
| 生活習慣 | 睡眠不足、ストレス、運動不足 など | 睡眠・お酒・スマホ時間などを少し見直せないか |
| ホルモンバランス | 更年期のほてり・ホットフラッシュ | 急なほてり・発汗が続く場合は婦人科などで相談を |
| 病気の可能性 | 甲状腺の病気・生活習慣病など | 暑さ以外の症状(体重変化・動悸など)がないかチェック |
このように整理してみると、「職場で自分だけ暑い」原因は一つではないことがわかります。「どれに当てはまりそうかな?」と、気になるところから対策していきましょう。
今すぐできる!オフィスで浮かない「ひそかな暑さ対策」
ここからは、今日からできる具体的な暑さ対策を紹介します。職場の雰囲気にもよりますが、なるべく目立ちにくく取り入れやすい方法を中心にまとめました。
服装の工夫で「こっそり涼しく」
まず見直しやすいのがインナーと素材選びです。
- 吸汗速乾素材のインナーに変える
- 背中やわきの部分にメッシュが入ったものを選ぶ
- ジャケットやカーディガンは「すぐ脱ぎやすい」サイズにする
- 足元が冷えない範囲で、タイツや靴下の厚さを調整する
「オフィスで自分だけ暑い」ときは、見た目はきちんとしつつ、中のインナーで温度調節するのがおすすめです。
からだの中から整える基本の暑さ対策
体の中が軽く脱水ぎみだと、体温が上がりやすく、暑さもつらく感じやすくなります。仕事中でもこまめな水分補給を意識してみましょう。
- こまめに少しずつ水やお茶を飲む
- 汗をたくさんかく日は、適度に塩分もとる
- カフェイン飲料ばかりにならないよう、水や麦茶もはさむ
ただし、持病がある人や、塩分・水分の制限がある人は、医師の指示を優先してください。
オフィスで使いやすい冷却アイテムを活用する
最近は、職場でも使いやすい暑さ対策グッズが増えています。次のようなものは、比較的とり入れやすいアイテムです。
- 音の静かな卓上扇風機(自分の足元やひざに向ける)
- 首もとを冷やすネッククーラーや冷却タオル
- 保冷剤を入れられるポーチや、小さなひんやりシート
使うときは、周りの人に風が当たりすぎないか・音が気にならないかを意識すると、トラブルになりにくくなります。
暑さが強い時間帯は「作業の内容」を入れ替える
一日の中でも、とくに暑さを感じやすい時間帯がある人も多いです。
たとえば、
- 午後のいちばん暑い時間帯は、単純作業やルーティンワークをする
- 集中力が必要な作業は、朝や比較的涼しい時間帯にまとめる
このように、自分の体調や暑さに合わせて、作業内容をゆるく入れ替えるだけでも、「職場で自分だけ暑い」ストレスを少し減らせることがあります。
エアコンの温度が合わない…「エアコン問題」の乗り越え方
職場で自分だけ暑いときに、いちばん困るのがエアコンの温度問題です。「暑いから下げてほしい」「寒いから上げてほしい」で意見が分かれやすく、話し合いづらいテーマでもあります。
「勝手に温度を変えない」ためのルールを提案してみる
エアコンの温度を、誰かがこっそり変えてしまうと、「また変えられた」「誰がやったの?」と、すれ違いが起きやすくなります。
可能であれば、次のようなルールを職場で共有できないか、信頼できる上司や同僚に相談してみるのも一つの方法です。
- エアコンの温度を変えるときは、ひとこと声をかける
- 「○度~○度」の範囲で、みんなの意見を聞きながら調整する
- 温度だけでなく、席の場所や服装でも調整する
人によって暑さ・寒さの感じ方はちがうので、「どちらが正しい」ではなく、真ん中を探すイメージで話し合えると、ギスギスしづらくなります。
「暑い」と伝えるときの言い方のコツ
「暑いので温度を下げてほしい」と伝えるのは、とても勇気がいることです。そのときは、誰かを責める言い方ではなく、「自分はこう感じている」という伝え方を心がけると、受け取ってもらいやすくなります。
例としては、次のような言い方があります。
- 「自分の席だけ少し暑く感じるので、1度だけ下げてもいいでしょうか?」
- 「もし寒い方がいたら、ひざ掛けやカーディガンで調整してもらえませんか?」
- 「午後だけ暑くなりやすいので、その時間だけ少しだけ温度を下げられると助かります」
「自分だけ暑い」と感じていても、相手も「寒くてつらい」かもしれないという想像力を持って話すと、お互いに歩み寄りやすくなります。
席替え・グッズなど「温度以外の調整案」も一緒に提案する
どうしても温度の合意がむずかしい場合は、温度以外の方法で調整する案もあわせて考えてみましょう。
- 窓際・機械の近くなど、暑くなりやすい席の配置を見直してもらう
- 暑がりの人・寒がりの人で、座る位置を工夫する
- 卓上扇風機やひざ掛けなど、グッズの使用を職場全体でOKにする
ひとりでは難しくても、上司や人事・産業医などと一緒に考えることで、みんなが少しずつガマンを減らせる環境づくりにつながります。
「自分だけ暑い」が続くときに考えたいカラダのサイン
ここまで、環境や習慣の話を中心にしてきましたが、「これは体のサインかもしれない」というポイントも知っておくと安心です。
こんな症状が一緒にあるときは要チェック
次のような症状が、暑さと一緒に続いていないか、振り返ってみてください。
- 動悸がする・脈が速いと感じることが多い
- 急に体重が減った、または増えた
- いつも疲れていて、休んでもなかなか回復しない
- 夜中に汗びっしょりになって目が覚める
これらはいくつかの病気や体調不良でも見られる症状です。暑さだけで判断することはできませんが、気になる症状が重なっているときは、早めに医療機関で相談したほうが安心です。
更年期かもしれない…と思ったとき
「年齢的に更年期かもしれない」と感じている場合も、自己判断だけでがまんする必要はありません。
婦人科や更年期外来では、ホットフラッシュや汗、イライラ、不安感なども含めて相談できます。生活習慣のアドバイスや、必要に応じた治療など、専門的なサポートを受けられることがあります。
市販薬だけに頼りすぎず、専門家の意見も取り入れる
ドラッグストアには、いろいろなサプリメントや健康食品などがありますが、「飲めば必ず暑さがラクになる」とは言い切れません。 また、ほかの薬との飲み合わせに注意が必要なこともあります。
気になる症状が続くときは、市販薬だけに頼らず、医師や薬剤師など専門家の意見も取り入れることをおすすめします。
職場で自分だけ暑くてつらいときのメンタルケアと相談先
「職場で自分だけ暑い」状態が続くと、体だけでなく、心も疲れてきます。ここでは、気持ちの面でできることを少し整理してみます。
「自分が弱いから」と決めつけない
まず何より大切なのは、「自分がダメだから暑さに弱い」と決めつけないことです。
体質や年齢、体調、ホルモンバランス、職場の環境…。いろいろな要素が重なって、今の状態になっているだけかもしれません。
「暑さに弱い自分」ではなく、「暑さに敏感な自分を、どうやって守ってあげるか」という目線で、対策を考えてみてください。
ひとりで抱え込まず、身近な人に話してみる
心の負担を軽くするためには、誰かに話を聞いてもらうこともとても大切です。
- 信頼できる同僚に、「実はいつも暑くてつらい」と打ち明けてみる
- 家族やパートナーに、職場での状況を説明してみる
- 必要であれば、上司や人事に正式に相談する
話してみることで、「意外と同じように感じている人がいた」という発見があるかもしれません。
会社の相談窓口や専門家の力を借りる選択肢も
会社によっては、産業医・保健師・社外の相談窓口などが用意されている場合もあります。からだのことだけでなく、仕事のストレスについても相談できることがあります。
つらさが長く続いているときは、無理にひとりで解決しようとせず、使える制度や専門家の力を上手に借りることも、自分を守る大切な行動です。
今日からできる「職場で自分だけ暑い」対策チェックリストまとめ
最後に、この記事の内容をもとに、今日からできる対策をチェックリストにまとめます。気になったところから、できそうなものを選んでみてください。
原因チェック
- 自分の席が、エアコンの風が届きにくい場所・機械の近くではないか見直した
- 服の素材やインナーを、通気性のよいものに変えられないか考えた
- 最近の睡眠・お酒・ストレスなど、生活のリズムを振り返ってみた
- 急なほてり・大量の汗・動悸など、気になる症状がないか確認した
今すぐできる行動チェック
- こまめに水分をとるよう、デスクに飲み物を用意した
- 吸汗速乾インナーや、薄手の服に少しずつ入れ替えていく
- 卓上扇風機・ネッククーラーなど、職場で使いやすいグッズを検討した
- 暑さが強い時間帯と、仕事の内容をゆるく入れ替えてみた
周りとのコミュニケーション・相談チェック
- エアコンの温度について、責める言い方ではなく「自分はこう感じている」と伝える準備をした
- 席の配置やグッズの利用など、温度以外の調整案も考えてみた
- 信頼できる同僚・家族・上司などに、つらさを話してみた
- 気になる症状が続く場合は、医療機関や産業医に相談することを検討した
「職場で自分だけ暑い」と感じるのは、決してあなただけではありません。 体質や環境、体調の変化など、さまざまな理由が重なっているだけです。
少しずつ環境を整えたり、生活を見直したり、周りの人に相談したりしながら、「今の自分にできる範囲」で、自分のからだを大切にしてあげてください。 この記事が、その一歩を踏み出すヒントになればうれしいです。

コメント